診療案内
地域のかかりつけ医として循環器、呼吸器、消化器などの内科疾患、皮膚科を中心に治療を行っています。その中でも生活習慣病(高血圧、糖尿病、高コレステロール血症などの脂質異常症)の治療に力を入れております。
小さな症状でも遠慮なくご相談ください。
生活習慣病
- 高血圧
●高血圧の診断基準↓ JSH(日本高血圧学会)2019の新ガイドライン
高血圧とは |
最高血圧が140mmHg以上 または 最低血圧が90mmHg以上のもの。 (ただし家庭血圧では135mmHg以上または85mmHg以上となります。) |
(高値血圧) | 最高血圧が130~139mmHg かつ/または 最低血圧が80~89mHgのもの。 |
(正常高値血圧) | 最高血圧が120~129mmHg かつ 最低血圧が80mmHg未満のもの。 |
正常血圧とは | 最高血圧が120mmHg未満 かつ 最低血圧が80mmHg未満のもの。 |
◆家庭血圧のはかりかた |
血圧の絶対値を下げることが最も重要です。Ca(カルシウム)拮抗剤は効果発現が早いことから一般診療所で最も多く用いられています。ARB(アンギオテンシンII受容体拮抗薬)はそれに比べると効果が現れるまでにやや時間がかかりますが,腎臓保護作用がある等の優れた作用が認められています。
●早朝高血圧の話
朝も夕も血圧が高いが、夕の血圧よりも更に朝の血圧が高い状態を指します。(1)夜間からの高血圧が引き続いて早朝まで続くパターンと、(2)夜間は下がっていた血圧が早朝に著しく高くなるパターン(サージ型)の二つのタイプがあります。両者とも脳卒中のリスクを一段と高くします。
●拡張期血圧の話
収縮期高血圧より拡張期高血圧の方が悪いのではとよく相談を受けますが必ずしも正しくありません。若い人などで高血圧の初期には拡張期血圧のみ上昇し、少し遅れて収縮期血圧が上昇することはよく見られる現象です。収縮期血圧も拡張期血圧もともに下げることが必要です。
- 糖尿病
●糖尿病の治療目標
血糖値を下げることだけではなく、三大合併症等の発現を防ぎ、動脈硬化による心筋梗塞と脳梗塞を防ぐことです。
理想的にはHbA1c 6.0%未満ですが、まずは合併症予防のためにHbA1c 7.0%未満を目標にしましょう。
●糖尿病の診断基準↓血糖値とHb
A1cと症状から診断します.
(1)空腹時血糖が126mg/dl以上,(2)随時血糖が200mg/dl以上,(3)75g糖負荷試験で2時間値が200mg/dl以上,(4) Hb A1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)が6.5%以上,のどれかがあてはまる場合を「糖尿病型」とする。 |
(4)空腹時血糖が110mg/dl未満,(5)75g糖負荷試験で2時間値が140mg/dl未満,のいずれもが当てはまる場合を「正常型」とする。 |
・「糖尿病型」「正常型」のいずれでもないものを「境界型」とする。 |
・血糖値とHbA1cともに「糖尿病型」の場合→「糖尿病」と診断する. ・血糖値のみ又はHbA1cのみ「糖尿病型」の場合は再検査にて決定. |
●糖尿病の三大合併症
(1)糖尿病性神経障害
手首より先と足首より先の領域に症状が強く出る「手袋・靴下型」の神経症状が特徴的です。
(2)糖尿病性網膜症
失明の原因の中で一番多い疾患です。定期的な眼科受診が必要です。
(3)糖尿病性腎症
血液透析の原因の中で一番多い疾患です。蛋白尿が出現するような進行した状況に陥る前に発見することが大切です。
すなわち「微量」アルブミンの定期検査が欠かせません。当クリニックでは即日測定できます。6カ月に一回位測定するとよいでしょう。
すでに糖尿病性腎症の段階にある人は、その進行を遅らせる治療が必要です。そのためには意外かもしれませんが、血糖のコントロール以外に血圧を普通の人より厳しく(低く)コントロールすることが必須です。
糖尿病と高血圧の合併例に最も適した薬は当クリニックでも多用しているARB(アンギオテンシンII受容体拮抗薬)系の薬剤です。
●血糖値とHb A1c値
血糖値はその日の瞬間風速を、Hb A1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)は一カ月の平均風速を示すと考えて下さい。
三大合併症の予防には平均風速,すなわちHbA1c(NGSP値)を下げることが必要です。
理想的にはHbA1c 6.0%未満ですが、まずは合併症予防のためにHbA1c 7.0%未満を目標にしましょう。
●食後高血糖の危険性
Hb A1cが正常の段階でも,食後高血糖が存在すると,既に大血管(心臓や脳や下肢の血管)の動脈硬化が始まります。頸動脈エコー検査や糖負荷試験などで早期発見に努め,軽度のうちから治療を始めることが肝心です。
●糖尿病の薬物療法について
最近さまざまな種類の新薬が出てきて糖尿病の薬物療法の体系は一変しました。空腹時高血糖型と食後高血糖型の使い分け、肥満の有無による使い分け、動脈硬化予防に主眼をおいた治療等ができるようになってきました。
●シック・デイについて
糖尿病の方が病気になって食事量が減った時には、それなりの対応が必要です(シックデイ・ルール)。病気の時はインスリンと反対の作用のいろいろなホルモンが出て血糖値を上げようとしますが、一方で食事量が減って血糖値が下がる要素もあり、いろいろなケースが考えられます。
(1)食事量が半分位の時
水分だけはなんとか多めに取って下さい。アマリール・スターシス・エクア等は食事量に比例して半量に減らしますが,止めてもかまいません。セイブル・メトグルコ・スーグラ等は一時的に中止します。アクトス等は続けられますが,止めてもかまいません。
(2)食事が半分以下または全く取れない時
内服薬は全て休薬してください。検査(血糖と尿ケトン)と点滴による水分補給が必要です。
- 脂質異常症(高脂血症)
●コレステロールは特に心筋梗塞との関連が深いことがわかっています。
●中性脂肪は以前はコレステロールほど重要視されていませんでした。しかし近年ではメタボリックシンドロームとの関連性・飲酒との関連性・脂肪肝との関連性等から注目度が高まっています。
●高脂血症 で牛肉の霜降り状態やフォアグラ状態にならないようにしましょう。
[牛肉の霜降り=筋肉に脂肪がたまった状態/フォアグラ=脂肪肝そのもの]
●脂質異常症の診断基準↓ (2012年ガイドライン)
(1)LDL(悪玉)コレステロール値が140mg/dl以上, (2)HDL(善玉)コレステロール値が40mg/dl未満, (3)トリグリセリド(中性脂肪)値が150mg/dl以上, (4)Non-HDLコレステロール値が170mg/dl以上, のいずれかにあてはまる場合を脂質異常症と診断します。 |
(注1)2007年のガイドラインから名称が「高脂血症」→「脂質異常症」に変わりました.
(注2)2007年のガイドラインから「総コレステロール値」の基準は削除されました.
◆治療目標は自分の持つ危険因子の数によって決まります.
(1)冠動脈疾患の有無
(2)糖尿病・慢性腎臓病・脳梗塞・足の動脈疾患の4疾患の有無
(3)年齢・性別・喫煙の有無・血圧の値・家族歴
→(1)(2)(3)の各項目を「吹田スコア」にて点数付け
→点数により,低リスク・中リスク・高リスクに分類し,各々の治療目標値が決まります.
■リスク別の LDLコレステロール/Non-HDLコレステロール/HDLコレステロール/中性脂肪の目標値
低リスク→ | 160未満と, 190未満と, 40以上と, 150未満 |
中リクス→ | 140未満と, 170未満と, 40以上と, 150未満 |
高リスク→ | 120未満と, 150未満と, 40以上と, 150未満 |
二次予防→ | 100未満と, 130未満と, 40以上と, 150未満 |
●高脂血症の薬物療法について
コレステロールを作る酵素を阻害してその値を下げるスタチン系の薬は、コレステロール値を下げるだけでなく、動脈硬化の進行を防ぐ働きもあることがわかってきました。